最近、SNSを見ていても山岳会に入ろうか、でも面倒…そんなコメントを頻繁に目にします。実際に山岳会に入ろうか悩んでいる方は是非、山岳会はどんなところなのか、自分が入るべきなのか…そんなことについて書きましたので、参考にしていただければと思います。
山岳会とは…
山岳会とは一言でいてしまえば、山が好きな仲間が集まった団体です。周辺地域の集まりの場合もあれば、職場や学校単位での場合もあります。中には、方向性や趣向が合えば近県から参加するような専門性の高い団体もあります。
ひと昔の感覚で言えば、口うるさいじいさん、ばぁさんがいて、昔はどうだった、最近の若い者は…なんで完全縦社会なイメージをお持ちの方も多いでしょう。
確かにそのような山岳会も未だに存在することは紛れもない事実です。というか現在も総体的に見れば半分以上はそんな山岳会かもしれませんね。
山岳会に入ろうとすると、基本的には「例会」と呼ばれる定例の集会に参加して、入会したいのであれば、そこで入会申込書を書き、入会金、年会費を払ってその会の一員となる、そんな流れの山岳会が多いのだと思います。
山岳会の趣向と方向性
山岳会と一言で言ってもいろいろな山岳会があります。
- ハイキングなどを中心に楽しむ、ハイキング同好会的な山岳会
- アルプスの縦走など力を入れて活動している山岳会
- フリークライミングを中心に行っている山岳会
- 沢登り主体の山岳会
- 一般登山もするけど、ロープを使ったバリエーションルートやアルパインクライミングが主体の山岳会
- 少数精鋭でゴリゴリな日本のトップを争うような技術の高い山岳会
- 海外遠征を目指す人が集まった山岳会
などなど挙げれなキリがありませんが、もし山岳会に入りたいとお考えの方なら、
自分が何をしたいのか…(そういう登山をしたいのか)どんな人たちと山に行きたいのか…といった明確な目的を持ち、入会する山岳会を選ばなければミスマッチがおきてしまい、払った入会金や年会費が水の泡となってしまいます。
山岳会の活動への参加…
入会したらどこにでも一緒に連れて行ってもらえる…そうお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そう甘いものではありません。
山岳会によっては、世話焼きなおじいちゃん(おばあちゃん)みたいな人がいて、いろいろ登山に誘ってくれる。そんな山岳会に入った方はラッキーです。経験が少ない場合、入会して早々、登山に誘ってもらえるというケースは稀だと思います。
また、せっかく誘ってもらったのに、たまたま予定が合わずお断り。それ以降誘ってもらえない…なんてことも良くあるケースです。基本的には積極的にコミュニケーションが取れる方でないと、最初の1~2回は誘ってもらえても、そこでタイミングが合わなければ、それ以降は積極的に「連れて行ってほしい!」とアピールをしないとなかなか一緒に行くことはできません。
そもそも、大きな山岳会になればなるほど、仲のいいグループみたいなのができてしまっているのでそこに入り込むのは簡単なことではありません。
勘違いして欲しくないのは、そういう状況でも新たに入会した方を「煩わしい」と思っているのではなく、単純に手取り足取りすべての面倒見る筋合いもないわけで、積極的にコミュニケーションをとっていけばきっと快く受け入れてくれるでしょう。永遠に「待ち」の体制を取っている方はそのうち声もかけられず孤立してしまうというのが落ちです。
せめても、例会や講習会に参加してまずは存在を知ってもらい、「どこかに連れて行って欲しい」ということさえアピールしていれば、一緒に行くことも難しくは無いと思います。
山岳会のメリットとデメリット…
私の考える山岳会のメリットは下記の通りです。
・自分の考えに合った、仲間を見つけやすい
・登山に関する技術を無償で教えてもらえる
・自分の力だけでは行けないようなレベルの山に連れて行ってもらえる
・山岳会の共同装備を無償で借りられる
・登山講習会に無償(又は低価格)で受けられる
・安全管理がされた登山活動ができる為、遭難などのリスクが軽減される
こんなところでしょうか。ではデメリットとは何でしょう?
・登山計画書の提出義務(山域によっては山岳会の有無を問わず義務ですけど…)
・めんどくさい人間関係があるかもしれない
・(技術不足などで)行きたい山に行けない(制限)可能性もある。
・自分の力量が認められない可能性がある
・山以外の例会や総会、講習会に出なければならないことがある。
・協会の行事の手伝いに借りだされることがある
・入会金・年会費を払わなければならない
・上の立場になると、下の立場や新人の面倒を見なければならないことがある
何を嫌と思うかは個人次第ではありますが、これらの事でめんどくさいと思う人は一定数いると思います。また、技術不足に関してはデメリットでもありますが、実際には、自分では「行ける」、「できる」と思っていても客観的に見たら、力不足ということはとても多くあります。
例をあげるなら、「岩場もろくに歩けない、体力もあまりない…」
そんな方が、自分では行けると思って、一般登山では最高難易度の奥穂高~西穂高間の縦走をして、滑落、体力不足による行動不能、落石まどで遭難騒ぎになって、実際に亡くなったり、搬送されたりするわけなのです。
それでも、自分では行けると思っているのを、否定されると…「煩わしい」と思ってしまうのも仕方ないことだと思いますけどね。
近年の山岳会離れについて
上記に上げた、山岳会のデメリットや人付き合いの面倒さから山岳会の人気は年々下がってきています。情報網がこれだけ発達している中で、自分で調べればある程度のことは出来てしまいからということと、近年は、いろんなところで、登山に関する講習会が開催されているので、お金さえ払えば登山の技術を身に付けることができます。
これは考え方ですが、
① 山岳会に入って、安く学んで技術を身に付けて今後の糧にする
② 手っ取り早くお金を払って最低限の技術を講習会などで学んで今後の登山活動に役立てるか…
③ ネットやyoutubeなどの情報を基に独学で勉強してスキルアップを図る…
この中でどれがいいかというのは個人が決めることです。正解も何もありません。
個人的な意見を言えば、ネットや、youtube、書籍までも間違った内容を書いた文献は山ほどあります。なので独学で学ぶには限界がありますけど、でもこれは山岳会に入ろうとも、講習会に行こうとも、間違えた方法を教えられるということは必ず発生してきます。
※間違っているというよりも、登山技術の進歩、道具の進歩で方法は日々変化している為です。
大切なのは、教えられたことをその通りに実践するのではなく、なぜ、ここではこういうやり方をするのか、なぜ、こういったことをしなければならないのかという原理や理屈をしっかり理解して、それに基づいて実践するするというのが重要です。
そのように、自分で判断できる登山者が増えていただきたいと私は心より願っております。