晩秋の北岳ツアー
2023年11月3日~4日の日程で「晩秋の北岳」ツアーを開催しました。この時期のアルプスというと、一歩間違えれば厳冬そのもの…厳しいコンディションが予想されますし、運が良ければ秋山そのもの。
ともあれ、どんなことが起こっても対処できるように準備をしっかりして今回のツアーに挑みました。
6:00 広河原 集合、出発
芦安を5時にタクシーで出発して6時には広河原に到着し、いざ北岳に挑んでいきます。本日の行程は北岳山荘まで。天気は2日間とも快晴の予報で雲一つない天気が朝から広がっていました。
現在、大樺沢は通行止めなので、白根御池小屋を経て、二俣へ。そして八本歯のコルから北岳山荘にいく行程になります。
まずは白根御池小屋まで…
白根御池小屋までは地味に?いや結構派手な急登になります。この日は気温も暖かく、日向に出ると(でなくても)熱く感じ汗が噴き出してきます。
基本、私のツアーでは1時間に1回程度5~10分程度の休憩を挟みながら登っていくのですが、早朝は寒かったので決行着込んでのスタートとなりましたが、休憩の度に上着を脱いで薄着になっていきました。
行程的には、少し余裕のある行程でしたので途中で地図読み講習なども織り交ぜながら進みました。今回初めて地図とコンパスを扱う方がほとんどで、最初のうちはあまり上手に使えず「???」が頭の上に浮かんでいるような光景でした。
白根御池小屋~二俣へ
二俣までは終始樹林帯が続きますが、ここまで来ると一気に視界が開けます。そして、北岳、バットレスが間近に見えてきます。
二俣からは傾斜がきつくなり、この辺まで来ると標高も高くなってくるので息があがってしまいます。何気にこの周辺が一番きつい時間帯かな…
八本歯のコル手前、尾根に上がる直前は日当たりも悪く、水が流れている為、凍結してました。雪ではなくただの氷。部分的には傾斜もあるので12本アイゼンが役に立ちます。
短い距離でしたが、アイゼンを履くのもはじめの方もいて、これはこれでアトラクションとして楽しんでいただけました!
ここを過ぎたらあとは尾根の急登、はしご、階段などで稜線まで一気に高度を上げていきます。
そしてついに八本歯のコルに出ると、間ノ岳や富士山の眺望がすばらしいのなんの…
ついに稜線へ!
ここまでで、結構登ってきているので体力的にはしんどい時間帯ですが、雲もない、風もない、景色も最高!テンションが下がる要素が一つもありません。
ここまでの疲れも一気に吹っ飛んで皆さん笑顔が絶えません!
北岳山頂からの稜線までは出ずに、トラバース道を経て北岳山荘まで近道を!
トラバース道も終わり、ついに山頂からの稜線に合流します。南アルプスの女王「仙丈ケ岳」の姿も視界に入るようになりました。
北岳山荘到着!
途中、3~4回地図読み講習を行いながらでしたが、無事に15時半頃、予定通り北岳山荘に到着。この週末で北岳山荘は営業終了ということで小屋では食事の提供がありません。
ですので、今回はシェフ”mitsu”による手料理で夕ご飯。ほかの登山者は、カップラーメン、アルファ米…などドライフーズの方ばかりでしたが、
ブルーチーズソースのニョッキ、チゲ鍋、炊きたての白米を作って食べていただきました。涸沢以降、おかげさまで私の手料理を食べていただく機会が増えて光栄です。(まぁまぁ評判いいですよ 笑)
2日目 北岳山荘 5時半出発
ちなみに、朝食も私の手料理で!
本日の朝ご飯は、昨日の鍋の残りに煮込みラーメンです。さすがにこの時期なので朝はソコソコ冷え込んだの暖かいご飯は身体に染みわたります!
実は、昨晩から風が強くなり、窓がガタガタ響き渡るほどの強い風が一晩中吹いていました。その風は朝になっても止むことはなく、外に出ると強風が襲い掛かってきました。
これもこの時期の特徴ですよね。夏場は台風とか来ない限り、そこまで強い風が吹くことは稀ですが、この時期や冬になるとこの程度の風は日常茶飯事です。
私は慣れていますが、経験の浅い参加者の皆さんは恐怖を感じるほどの風だったようです。でもこんな風も、このような機会で経験しておくと、今後自分たちだけで行った時にも落ち着いて行動ができるようになると思いますのでいい経験だったと思います。私の体感では風速は15m程度、まだまだぬるい方ですね 笑
ご来光!!
そして、日の出の時間を迎えます。富士山と日の出。
来年の年賀状はこの写真で決まりかな!
強風も地形によってはかわすことができていたので、これまたいい経験でした。
風がどっちの方向から、吹いているのか、このような向きの風はどのような地形であればかわすことができるのか…
強風による、低体温症の遭難事故が多発している時だったので、参加者の皆さんもこのような対処には興味津々でとても勉強になったと思います。
北岳は言わずと知れた、我が国日本で2番目に標高の高い山…それ故山頂付近では空気が薄く息が切れてしまいます。
でも、ここからの景色は最高!苦しいながらもそんな景色を楽しみながら山頂目指して登ります。
北岳(3,193m)登頂!
山頂ではこれまでの強風がウソのように無風です。気温もそこまで寒くなく、20分ほど休憩したり、写真撮ったりとゆっくり過ごすことができました。
下山!あとは帰るのみ…
山頂から肩ノ小屋まで、日陰では雪が凍って凍結している箇所もありましたが、アイゼンを履くほどでもなく、慎重に下れば大丈夫。
みなさんの頑張りによって、予定より1時間ほど早く下山できました。早く下山はしたいけど…いざ、下山が近くなると寂しくなる…この感覚はなんなんでしょう 笑
みなさん、お疲れさまでした。
おそらくこれが、無雪期のツアーは今年最後になりますが、また来年の無雪期のツアーもよろしくお願いします。