登山でダイエットはできるのか?

山と生活

「山ガール」などのブームから今ではカルチャーになりつつある登山。登山は有酸素運動というのは容易に想像できるかと思いますが、登山をすることによって本当に痩せるのでしょうか?

登山中は食料を口にすることも多いですし水分もたくさん摂ります、むしろ水分は摂らなくてはいけない・・・そんな登山が本当に痩せるのか?痩せるとすればどんな登山を、どのくらいすれば痩せるのか気になるところです。

登山とダイエットの関係性をまとめてみました。ダイエットが気になっている方は必見です。

登山でダイエットはできるか?

A. 結論から言うと登山でダイエットは可能です。

山に登ることによって有酸素運動を長時間することになります。一般的には運動開始後20分で脂肪燃焼が始まると言われています。(ここでは脂肪燃焼に関する詳細は割愛します。)ウォーキングを20分すれば脂肪燃焼するので、歩くだけでもダイエット効果はありますが登山ではここからがすごいんです。

山に登ることによって脂肪燃焼を長時間行い痩せるというのが理屈です。また、家の周りを毎日歩いてもさほど景色は変わらず飽きてしまい毎日続けることはとても困難です。私も実際にウォーキングやジョギングをしたことがありますがすぐに飽きてしまって続けることはできませんでした。

しかし、登山では自然の中を歩くことで空気も美味しいですし、景色も変わり飽きずに長時間歩き続けることができます。また、登山では「山頂まで登る」という目標があるため、”途中で諦めて帰る”ということはなかなかできません。

これが登山のいいところで「半強制的に長時間歩き続ける」・・・しかも絶景を楽しみながらということになります。

これは私の体験談ですが、私は全く登山になんて興味がなかったのです。ある日友人とお酒の席で「日本人として富士山は一度登ってみたいよね。」と話したところから私の登山人生は始まりました。登山に出会う前の私は不摂生(毎晩毎晩酒を飲み歩く日々・・・)が重なり、大学時代のベスト体重(68kg)から毎晩飲み歩いていたことで88kgまで体重増加したことがあります。それから登山を始めで約半年で体重は75kgまで減量。

その後は徐々に減って現在は70~72kgくらいの体重を維持しています。頻度とすれば1ヶ月に(日帰り登山を)2~3回ほどです。

登山によるダイエット効果

それでは登山をすることでどのくらいのエネルギーを消費するのか見ていきましょう。

登山活動での消費カロリーを簡単に計算できるサイトがあります。体型は個人差がありますのでご自身の登山活動でのカロリーは「こちら」のサイトを参考にしてみてください。ここでは下記の条件の方の消費カロリーを算出してみました。

年齢:35歳

性別:女

傾斜レベル:一般登山道(日本百名山の平均)

登山行動:7時間(7時間というのは一般的な日帰り登山の平均で → 登り 4時間 下り 3時間)

体型:標準体型

この条件下での登山の消費カロリーは 「9163 Kcal」となり、全工程+1日の基礎代謝で1日の消費カロリーでは 「10,466 Kcal」となります。

ちなみにマラソンではどの程度のカロリーを消費するのでしょう・・・

フルマラソンを完走したらどのくらいカロリーを消費するのでしょうか?

ここでは体重60kgの人が5時間かけてフルマラソンを完走した場合について考えてみます。42.195kmを5時間で走れば時速は約8.4kmなので、身体活動は9.0METsになります。すると消費カロリーは、

1.05×9.0METs×5h×60kg=2,835kcal

フルマラソン(42.195km)をやってもこの程度の消費カロリーです。

日帰り登山をした場合の消費カロリーはフルマラソンを3本走ったものと同等の消費カロリーになります。

これを見ると登山はとんでもないカロリー消費をすることが分かります。

毎日(週に5回程度)20分のウォーキングするよりも月1回の登山をしたほうが効率よくダイエット効果が出るといわれているのも頷けます。ウォーキングに換算して1日 20分歩いたとするならば登山(日帰り7時間行動)では21日分の運動量になります。

登山ダイエットに向く人・向かない人

この効果をみても「登山はちょっと・・・」って人は当然いるとおもいます。そういう方は無理にやる必要はありません。

そもそも誰もが登山に向くとは思いませんし、心底から身体を動かすのが嫌いな人は別の方法でダイエットに挑戦してください。

ここでは、「多少であれば身体を動かしてもいい・・・」、「自然の中を歩くのは好き!」という人に知っていただいて登山の素晴らしさを存分に味わってもらえればと思います。

次に、登山ダイエットに向く人、向かない人の特徴をまとめてみました。

登山ダイエットに向く人

登山ダイエットに向く人は次のような人だと思います。

    1. 身体を動かすのが好き
    1. 自然が好き
    1. 遠出が気にならない(車の運転が好き)
    1. 温泉が好き
    2. たくさん身体動かして美味しいものを食べたい
  1. ドM気質
女子A
ん?・・・ドM気質って??

実はこの中で一番大切な要素は「ドM気質」です。

包み隠さずお話しすれば私は「心底からのドM」です(笑)。私の「苦しい」は「気持ちいい」と感じ、「キツイ」は「楽しい」と思って生きている人間です。登山でも苦しくなればなるほど気持ちよくなり昇天してしまいます。

私の周りでも登山にハマっている人の8割くらいはエムっ気が強い人が非常に多いです・・・(笑)

そんな私でも山を登ってて本当にきついと「もう2度と登山なんてやらない・・・」っていまだに思います。

それでも山頂での景色や達成感、また下山後の達成感を味わって数日経つと無性に山に行きたくなります。私は何人もの初心者を山に連れて行きましたが同じように思う人は多く、またそういう人はどっぷり山にハマっていくのです。そうなると体重はみるみるうちに減っていき、食事制限も特に考えることなく充実した生活が送れるのです。

登山ダイエットに向かない人

向かない人は言うまでもありませんね前述した項目の逆ですよね。

  1. 身体を動かすのが嫌い
  2. 自然の中にいるより家でゴロゴロしていたい
  3. 遠出は嫌だ(長時間の移動、そもそも家から出たくない)

ドSの人はどうでしょう・・・

あまり、私の周りでもいないかな・・・全くいない訳でもありませんが極端に少ないと思います。

大前提として「運動」、「自然」に全く興味がない、嫌いという人は絶対に向かないのでやってはいけません。

(そう人はサイト自体、読まないと思いますけど・・・)




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登山でダイエットを失敗する場合

いいことばかり書いてきましたが、登山ダイエットで失敗する場合も当然ありますので注意も必要です。

失敗例としては

  1. 体重が減らない
  2. 足が太くなった
  3. リバウンドした

こんな感じでしょうか。

体重が減らない

これには原因が2つあります。

  • 脂肪が減らない
  • 筋肉が付いてしまった

脂肪が減らないのはやっぱり運動量以上に食べ物を摂取することが原因です。登山は基本的には有酸素運動の連続なので脂肪燃焼することは間違いないのですが、登山後のご飯が美味しいのなんのって・・・私は下山後好きなものを食べます。「ラーメン + ライス」、「定食をご飯大盛りで」など・・・下山後はお腹が空くので普段以上食べます。

でも翌日以降は普通のご飯の量です。特に食事制限する訳ではありませんがあくまでも「1人前の量を普通に」です。

登山しているから大丈夫!!と思ってご飯は無制限に、間食のおやつなども無制限に・・・という生活を日常的にやっていたらそりゃ痩せませんよね。下山後は思う存分食べても構いませんがその他の日常生活では「少し控えめに・・・」を心がけることが大切です。ちなみに私は毎日晩酌しますが、夕飯で炭水化物を摂取することはありません。それだけであとはいたって普通です、仕事中も頭の回転を良くする為にチョコを数個口に入れて糖分を摂取することもあります。

筋肉が付いてムキムキに・・・(足が太くなった)

これも、たまに聞く話です。

登山をやりすぎてというよりも、負荷をかけて登山をガンガンやってしまうとこうなります。あと足が太くなるのには歩き方も大きく影響してきます。登山の歩き方と普段の生活での歩き方って全然違うんです。詳しい歩き方については別の機会の紹介したいと思いますが・・・

あと、体質的なものもあります。筋肉の付きやすい人(筋肉が太くなりやすい)は遺伝子的に決まってしまっているのでそういう人は諦めましょう。私のもその部類ですぐに筋肉が太くなるのですが個人的には筋肉が付くのは問題とは思っていません。脂肪が減って理想的な体型になれば私はそれでいいんです。「全く筋肉を増やしたくない!」という人も登山はあまり向かないかもしれません。

ただし、普通に(それほど負荷をかけず)登山をしているだけでは健康的な筋肉がつく程度でそれほど気にはならないと思います。元?有名モデルさんも登山していましたし、あまり気にしなくてもいいと思います。

脂肪が減って筋肉が付いた場合は体重はそれほど変わらないことが多いです。脂肪よりも筋肉の方が重たいのでそれは仕方ないことなのです。

体重だけにとらわれず体脂肪率やご自身の身体のシルエットなど見ながら調整してみてはいかがでしょう。

継続的に続ける為には

“継続は力なり” 登山を続けていれば必ず成果が出ます。

では、継続するためのコツをお教えします。

  1. 無理をしない(自分の力量を考えた山を選ぶ)
  2. 山を楽しむためのご褒美を自分にあげる
  3. 何よりも山を好きになること

無理をしない

最初からあまり背伸びをして山に行くと山が嫌いになってしまいます。そこで大切なのは簡単な山から徐々にステップアップしていくことが大切です。山を始めると「槍ヶ岳に憧れているから」などと言って山のネームバリューに振り回されてしまうことも多々あります。

もちろんそれも大切ですが、まずは身の丈にあった山を選びましょう。

山をいくつか登っていくうちに体力もついてくるでしょうし、自分の限界も分かってくるので次のステップで憧れの山を目指してもいいと思います。

「山の選び方」についてはこちらを参考にしてください。

登山デビューにオススメの山 3選

2019年2月2日

ご褒美を自分にあげる

「登山をしたらこんなことをしよう!」そんなご褒美を考えるのも楽しみのうちの一つです。

  • 地元の名物を食べる
  • スイーツを食べる
  • 下山後のビール

などなど・・・

ちょっとしたことでもいいんです。

あとはご褒美というほどでもありませんが私の場合は温泉が下山後の楽しみでした。

疲れもとれますし、汗をかいたあとにさっぱりもしますし・・・山の周辺には大抵温泉がありますので行く前に一度リサーチしてくださいね。

山を好きになる

先ほど無理をするな・・・と言って「矛盾」に感じるかもしれませんが最初は簡単かつ「いい山」に行ってください。

いい山とはネームバリューもあっていい景色もあって・・・

近場の山から・・・という気持ちも分かりますが最初こそ肝心です。

繰り返しになりますが私の個人的な感覚ですが、絶対に山を好きになれる山を紹介していますのでこちらを参考にしてください。

登山デビューにオススメの山 3選

2019年2月2日

登山の楽しさを知る

まずは身の丈にあった山に登るというのが鉄則ですが、1~2回行けば自分のポテンシャルが分かってくると思います。

「片道○時間だったらいけそうだな・・・」その体力次第にもよりますが片道(登り4時間)ほど歩けるようになると山の選択肢は格段に広がります。

山にはいろいろな種類の山があるので自分にあった山を見つけてはいかがでしょうか?そうなると山が楽しくなって仕方ありません。

一例を挙げると

  • 岩場歩き
  • 稜線歩き
  • 苔蒸した樹林帯
  • 森林限界の雰囲気
  • 活火山
  • 断崖絶壁のスリリングなコース

などなど山の楽しみ方はいろいろあります。

是非自分にあった山を探してください。

ダイエットはリバウンドとの戦い

ダイエットにつきものなのはリバウンドです。

せっかく頑張って痩せたのにリバウンドしては全く意味がありません。某ジムの過激なダイエットプログラムに芸能人が挑んで劇的な変化を打ち出すCMがありましたが、その後をみるとかなりの確率でリバウンドしているのを目にすると思います。

過激なことを半永久的にやり続けるというのは芸能人のように人に見られる職業に就いたとしても簡単なことではありません。ましてや美味しい食べ物やお酒など誘惑が多い昨今ではなおさらです。

一度痩せたら、無理なくその体型を維持したいというのは誰もが抱くことです。

登山ダイエットはリバウンドしないの

そこで登山ダイエットではどうでしょう?

もちろん、山に登らなくなるとリバウンドの可能性は十分にありますがここまでお伝えしてきた通り、きっかけがダイエットの登山でもいつの間にか趣味に変わっていることが多いです。

また山では多くの人が友好的になり会話を楽しんで、山で出会った人が山の仲間がになるなんてことも珍しくもありません。そして一番の醍醐味は頻度は減ったとしても高齢になっても楽しみ続けられる趣味なんです。

それは山には長年やっていても飽きない魅力がありますし、健康にもとてもいい運動となり健康寿命の増加にも大きく貢献してくれることでしょう。

無理なく、長年続けられるというのが登山ダイエットでリバウンドしにくい理由だと私は思っています。

騙されたと思って一度、山に行ってみてください。そこには新しい世界が待っています。



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ABOUT US

長野県在住(長野県出身)
登山歴は十数年。登山講習会の講師や山岳会の代表も務める。
1981年生まれ

【資格】
日本体育協会公認 山岳(アルパインクライミング)コーチ1

で普段は登山関連の講習などで講師を務めている一方で、休日は自分の山に励む現役のアルパインクライマー。山に関することは基本的には何でもやります。季節に限らずアルパインクライミングをメインとして幅広く山を楽しんでいます。

地元が長野県松本市ということで、北アルプス、特に槍・穂高連峰をこよなく愛しシーズンには何度も足を運ぶほど。