登山デビューにオススメの山 3選

ルート案内

山ガールブームは去った気もしますが、中高年から若年層まで登山をする人は年々増えてきていると思います。これはブームとわばれる一過性のものではなく日本人のカルチャーになりつつあると私は感じています。

そこで・・・登山デビューしてみたい…それでもどこの山に行っていいのかわからない。そんな人は多いかも知れません。

まずはこれから登山を始めようとしている人がどんな基準で山を選んだらいいのか見ていきましょう。

初心者が山を選ぶ基準

  • 標高
  • 行動時間
  • 登山口までのアクセス

まずはざっとこんな感じでしょうか。それでは一つづつ見ていきましょう。

初心者にオススメな山…標高は関係ない?

初心者であれば標高の低いところ・・・なんて思っている人もきっとたくさんいらっしゃると思います。しかし標高はあまり気にしなくていいです。目指す山頂の標高よりも標高差の方が重要かもしれません。

  1. 例えば標高500mの登山口から標高1500mの山頂を目指す
  2. 標高2000mの登山口から標高2500mの山頂を目指す

どちらが簡単だと思いますか?

これは後者の2000mの登山口から2500mの山頂に行く方が身体的には楽ですし時間もかかりません。当然標高が高い分空気が薄くなるので息は切れるかもしれませんが上の例の条件であれば標高差は半分ですので疲労度も半分程度だと思っていただいて問題ありません。

ただし、ここで注意してもらいたいのは2000m以上の標高になると個人差は当然ありますが高度障害(高山病)が起きる可能性があります。軽度の頭痛などで行動可能であれば頭痛薬などを飲んで行動を続けることも可能です。どんどん酷くなるようであれば迷わずに標高を下げてください。高山病は標高を下げるのが一番の特効薬です。

日本の山の標高であれば、人にもよりますが多少息があがる程度でそのほか全く感じないという方が大半だと思います。ちなみに私も高度にはあまり強くないほうで3200m前後から少し頭が痛くなりますが、頭痛薬で対処して行動を続けています。

行動時間

行動時間に関しては短いに越したことはありません。ただ多くの場合はルートの標高差にある程度は比例してくると思います。稀に標高が変わらずだらだら歩くところもあります。例えばでいうと長野県の上高地周辺。ここでは3時間以上歩いても標高は100m程度しか上がりません。

一般的な登山道にはコースタイムというものが設定されています。ですのでこの時間を目安にどの程度歩くのかを調べてみれば行けるか行けないかは判断できるようになります。コースタイムは地図に記載されていて、一般的には「山と高原地図」のコースタイムを参考とされる場合が多いです。

山と高原地図

書店の地図コーナーにあります。(エリアごとに分かれて全61冊に分かかれています。)山に行くときは必ず携行しましょう。最近ではスマホアプリ版の「山と高原地図」も普及しています。当然筆者も使っています。スマホアプリでは故障(水没)や電池切れの可能性があるので紙の地図と併用することをオススメしますが、それほど山深いところまで入らない最初のうちはスマホアプリだけでも大丈夫かもしれませんね。※携帯の防水、電池対策は念入りに。

補足しますと、スマホアプリであればGPS機能も備わっていますので今自分がどこにいるかも分かるので万が一の時も安心ですね。

登山口までのアクセス

登山口までのアクセスはとても重要です。登山口に到着できなければ登山活動すらスタートできません。アクセスについてはいろいろなアプローチ方法がありますが、ご自信の交通手段によって変わってきますのでこちらもチェックが必要です。

  • 自家用車(レンタカー)
  • 公共交通機関(電車・バス・タクシー)

大きく分けるとこんなものでしょうか・・・合わせ技というのも当然ありますがそれでは見ていきましょう。

登山口まで自家用車(レンタカー)

この手法は無敵で、どんなところでもいけてしまいます。着替えや荷物のことなどもあまり考えなくてよさそうですが運転に慣れない人は少しハードルが高いかもしれませんね。ちなみに私はほとんどが自家用車です。(数年前に数ヶ月間免許停止になったときは公共交通機関を使って行っていたこともありましたが…)

でも、案外登山口までも道の状態が悪くてたどり着けない・・・なんてこともない訳ではありません。特に車高の低い車ですとお腹やパンパーを擦ってしまったり、急坂で2WDでは上がっていかなかったりなんてことも。車高が高くて4WDの車がオススメです。それでも今まで200以上の登山口にアクセスしましたが冬季を除いて本当に前述のような車がなければ辿り着けないなんていうところは全体の1割以下でしょう。

また、場所によっては登山口まで自家用車の乗り入れができない場所も多いです。例えばピーク時の富士山、上高地、黒部立山などのような山々です。この場合は駐車場で車を置いてバスなどで登山口まで行きましょう。

車を持っていたとしても登山を始めて一番最初に戸惑うのは登山口のある場所です。私も嫌と言うほど経験しましたが登山口が分かり難いのなんのって。ここでも活躍するのは実は「山と高原地図」のスマホアプリです。地図には登山口が記されててGPS機能が使えるのでかなり役立ちます。

 

登山口まで公共交通機関で

車を持っていないなら公共交通機関を使うしかありません。中には電車の駅を降りてすぐに登山口のところもあります。でもそういう山はごく稀でほとんどはそこからバスやタクシーを使わなければいけないような場所も多くあります。山を登るのに大切なのは計画です。計画は情報なくてはできないので予め登山口までの電車や時刻表なども調べておくといいでしょう。

山岳地域や過疎が進んでいるような場所も少なくないのでバスや電車の本数も極端に少ない場合もあります。1日2~3本しかない、最終便が15時とか…最終便がすぎてしまった…タクシーを呼べるような場所ならいいですが電波も通じないとなると万事休すです。事前情報が運命を左右します。

さて…

こんなことばっかり言っているとなかなか山に行けなくなってしまうと思います。

「そんなの調べるのめんどくさい」、「帰れなくなったら怖い…」といった言葉が聞こえてきそうですが、そこはご安心ください。

そんな山ばかりではなく、お手軽な山はいっぱいあります。まずはお手軽で楽して絶景が味わえるような山を選ぶことが重要です。ここからは上記で述べてきたことを踏まえて、

  • 標高差が少なくて楽!
  • 行動時間が短い!
  • アクセスが簡単
  • かつ景色が良く感動を味わえる山が条件です。

そんな山を独断と偏見で3つ選びました。

「高尾山!」とか言いたいところですが、それは初心者の代名詞的な山で誰でも知っている山でつまらないので候補からは外します。私の考え方はお手軽に絶景を楽しめるがコンセプトです。里山的なところからステップアップ…という人もいるかもしれませんが技術的にも体力的にも難しくなく超一流な山はありますのでそういった山を選んでみました。初心者でも普通に歩ければ十分にいける山です。

 

登山用品を買うなら・・・

登山を始めようとしたときに登山用品が必要ですよね・・・

私のオススメの登山サイトをご紹介します。

それは、「Trekkinn」です。こちらは海外の大手通販サイトで日本語にも対応しています。(日本語訳が少々怪しいですが・・・)

Trekkinn


こちらは私もかなり頻繁に使います。日本のネットショップで買うよりモノによっては半額程度なんてことも。

でも注意しないといけないのはすべてが安い訳ではありません。日本での価格とよく比べてから購入することをオススメします。登山靴関連は基本的にはかなりお安いと思います。

一流ブランドの取扱いもあるので「オシャレに気を使いたい」、「いいものが欲しい」かつ安く買いたい方は必見です。

注意点

  • 発送(到着までに)に時間がかかる

発送は日本郵便も利用可能なのでそれほど高くありません。

クーリエ便(DHLなどの空輸)を利用するとかなり高額送料となりますのでご注意を。

購入の手続き時に送料が分かるので安心です。

到着までの時間に関しては商品や在庫状況にもよりますがおおよそ3週間くらいはかかると思ってください。

 

  • 関税がかかる

商品によって税率は異なりますが10%前後の関税がかかることがあります。靴などは特に高かった記憶がします。52,000円ほどの靴を購入した際に5,000円くらいの関税がかかりました。送料は2,000円弱くらいでトータル60,000円くらいで購入できました。ちなみにその靴は日本では90,000円ちょっとしますので3万円近く安く買えた事になります。

 

「登山は、まずどんなものか試したい」そんな方はレンタルでもいいかもしれません。最初はレンタルで、「これならできそう」と思えば自分に投資をしてみてください。



初心者にオススメの山 3選(超一流な山)

まず1つ目は・・・

谷川岳 1,977m(群馬県・新潟県)

天神尾根から望む谷川岳

ルートデータ

天神尾根ルート(天神平 → トマノ耳(山頂))

標高差 644m

天神平駅(登山口) 1,319m

トマノ耳 (山頂)1,963m(双耳峰で最高峰はオキノ耳1,977m トマノ耳から往復20分 多くの人はトマノ耳で満足して終了)

コースタイム 4:05

登り 2:15

下り 1:50

 

谷川岳ロープウェイ乗車(所要時間は約15分)し天神平駅より登山開始。駅からは目指す谷川岳が眺望でき、最初はほぼ平坦な木道歩きが45分ほど。「熊穴沢避難小屋」から本格的に登り始め、時折岩場も出てくるが難しい箇所や危険な箇所はほとんどない。

さらに、45分ほど登ると「天狗の溜まり場」と呼ばれるポイントでそこから45分で「谷川岳肩の小屋」を経てトマノ耳(山頂)へ。山頂からは越後の山々の眺望が素晴らしい。お手洗いは天神平駅を出ると肩の小屋までないので天神平駅で済ませておいたほうがいいでしょう。「熊穴沢避難小屋」以降は稜線歩きとなるので傾斜はきつくなりますが360度のパノラマが広がりとても気持ちいいです。体力に余裕があれば谷川岳の最高峰のオキノ耳まで行ってもいいが景色はほとんど変わらず多くの登山者はトマノ耳で引き返すことになるので無理することもありません。標高も山頂でも2,000m以下なので高山病の心配はまずないと思ってもらって構わないでしょう。

都内からのアクセスもよく登山口の谷川岳ロープウェイまで最短では100分(谷川岳ロープウェイ公式より)です。途中岩場歩きが少しあるがそれがいいスパイスとなり満足できること間違いありません。2,000m足らずの標高の割には眺望もアルプス顔負けで間違いなく登山の魅力を感じていただけることでしょう。

アクセス

自家用車の場合

練馬インター →(関越自動車道経由)→ 水上インター → 谷川岳ベースプラザ

155km 約2時間

電車の場合

東京駅 → (新幹線利用)→ 上毛高原駅 → 「谷川岳ロープウェイ」行きバス 約50分

約2時間

 




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そして2つ目はまさかの日本を代表する3,000m峰!

乗鞍岳 3,026m(長野県・岐阜県)

手前は焼岳、中央が乗鞍岳、奥が御嶽山日本を代表する火山が並ぶ

ルートデータ

肩ノ小屋口から剣ヶ峰(最高峰 3,026m)

標高差 416m

肩ノ小屋口 バス停(登山口) 2,610m付近

剣ヶ峰 (乗鞍岳 最高峰)3,026m(乗鞍岳は23の峰からなる広大な山)

コースタイム 2:20

登り 1:20

下り 1:00

 

乗鞍エコーラインはマイカー規制なのでシャトルバスに乗る必要があります。自家用車の方は「三本滝レストハウス」まではマイカーで乗り入れが可能です。そこからはシャトルバスかタクシーでのアプローチとなります。(公共交通機関のみの方は下記に記載します。)

肩ノ小屋口周辺(標高 2,640m付近)は森林限界のためハイマツがある程度で景色をさえぎる物はなく眺望はとってもいいです。あまり傾斜もきつくないので歩くのはそれほどキツくありません。ただし標高は2,500mを超えてくるので空気は薄く息が切れるのが早いと感じることでしょう。高度に弱い方は高山病のリスクもあり、乗鞍高原で1泊すれば多少の高度順応が可能です。日帰りで考えているようであれば車やバスなので一気に標高を上げることになるので高度障害は出やすいと考えてください。

ただ、普通の人であれば多少頭が痛くなることがあったとしても吐き気を伴う障害が出ることはかなり少ないと言えます。念のため頭痛に備えて頭痛薬を携行して痛くなれば無理せず飲むことをオススメします。水分不足も高度障害の要因となりますので小まめな水分補給はしっかりしてください。強い頭痛や吐き気を伴う場合は躊躇せずに標高を下げましょう。高山病は標高を下げれば症状は緩和されますので決して無理はしないように・・・

登山口の肩ノ小屋口バス停から山頂までは危険な箇所等は一切ありません。岩場歩きなどもありませんので普通に歩ければ登頂は可能です。乗鞍岳は独立峰ということもあり強い風が吹くことがあります。ウィンドブレーカーなど防風対策もしっかりしましょう。

乗鞍岳は3,000m級の山では最も「簡単」といわれています。とはいえ3,000m級の山なので天候等には十分気をつけて登りましょう。

アクセス

自家用車の場合

八王子インター →(中央自動車道経由)→ 松本インター → 三本滝レストハウス

230km 約3時間

電車の場合

新宿駅 → (特急 スーパーあずさ 2時間30分)→ 松本駅 → (アルピコ交通 1時間45分)→ 乗鞍観光センター → (シャトルバス 45分) → 肩ノ小屋口

約6時間

 

そして3つ目は、ロープウェイで楽々アプローチ!中央アルプスの最高峰!標高差はわずか300mほど!!

木曽駒ヶ岳 2,956m(長野県)

千畳敷駅周辺から望む千畳敷カール左の岩山は宝剣岳

ルートデータ

千畳敷 → 乗越浄土 → 木曽駒ケ岳山頂

標高差 316m

駒ケ岳ロープウェイ千畳敷駅(登山口) 2,640m

木曽駒ヶ岳 山頂 2,956m

コースタイム 3:50

登り 2:00

下り 1:50

 

ここまで紹介した山の中では一番標高差が少ないので体力的も負担は少ないです。ただ乗鞍岳同様 3,000m近い標高になるので高山病については頭の片隅に入れて置いたほうがいいでしょう。

駒ケ岳ロープウェイで一気に標高 2,640mの千畳敷まで上がりそこから登山がスタートします。この千畳敷は観光地としても名所となっていてロープウェイ乗車している方のほとんどは観光の方です。駅を降りると千畳敷カールが広がりこの景色にきっと言葉を失うことでしょう。目の前に飛び込んでくる荒々しい岩山は宝剣岳(2,931m)で経験を積めばいつかは目指せる山です。この宝剣岳を左手に見ながら乗越浄土を目指します。途中まではハイキングコースと一緒なので観光客と一緒に歩くことになります。傾斜が強くなってくると観光客の姿はなくなり登山装備の登山者のみになります。

乗越浄土までは傾斜はきついのですが、登山道はしっかり整備をされており実際の傾斜よりゆるく感じます。千畳敷駅から1時間ほどで「乗越浄土」に辿りつき、ここからは開けた斜面でとても歩きやすい道となります。「中岳」まで行くと目の前に雄大な木曽駒ケ岳の山頂が視界に飛び込んできます。山では遠くに見えても実際に歩いてみるとあっという間・・・なんてこともよくあります。まさにここで感じることです。(逆に富士山などは山頂が見えてからが長い・・・心折れます。)

山頂からは南アルプスの山々、御嶽山、北アルプス、八ヶ岳などの眺望が素晴らしいです。まさしく名のとおり「日本アルプスの中央にいる!」と感じること間違いなし。

アクセス

自家用車の場合

八王子インター →(中央自動車道経由)→ 駒ヶ根インター → 菅の台バスセンター(バスの乗り換え) → しらび平(駒ケ岳ロープウェイ)→ 千畳敷駅

199km 約2時間15分

電車の場合

新宿駅 → (特急 あずさ 2時間40分)→ 岡谷駅 → (JR 中央本線 1時間10分)→ 駒ヶ根駅 → (駒ヶ岳ロープウェイ行き 45分) →

しらび平駅 → (駒ケ岳ロープウェイ 約7分) → 千畳敷駅

約5時間

 

最後に・・・

登山を始めるのであればアルプス、もしくはアルプス級の絶景を堪能しなければ山の素晴らしさを体感することができないと思います。関東近郊の山を悪く言うつもりはありませんが今回紹介した山々とは”格”が違いすぎます。登山口までは多少時間は掛かりますがどうせなら素晴らしい絶景を肌で感じてください。現地での温泉や食事も楽しむのも登山の一部だと私は思います。

今回紹介した山が「本当に楽なの?いきなりこんなところには・・・」と思う方もいるかも知れませんが、初級者向けの山は標高差 1,000m、登り4時間・下り3時間トータルの行動時間が7時間前後というのが平均です。そう考えると今回紹介の3山はいかに簡単な山だということがわかることでしょう。ちなみに定番の高尾山は標高差 389mです。

よく、いろいろな方から「山に登って何が楽しいの?」と聞かれます。そう聞かれると私は必ず「登った人にしか味わえない感動がそこにあるから!」と答えます。百聞は一見にしかずという言葉があるようにまずは体験してみてください。そこでしか味わえない感動があります。