ジムや、外岩で少し経験もしたし、そろそろマルチピッチクライミングをやってみたい・・・そんな方にオススメのルートを紹介します。
クライミングのイメージのあまりない妙義山ですが、初心者にピッタリのマルチピッチルートがあります。
- 最高ピッチグレード、Ⅳ級
- ピッチ数 4(公式データは5ピッチ)
- アプローチ 30~40分 程度
- 取り付きが分かりやすい
そんなルートがあります。詳細は下記に記載しますが、裏妙義・(旧)国民宿舎 裏妙義から丁須の頭に行く途中にあるのが木戸壁です。
登攀レベル/ルートグレード/ピッチグレード
ルート分類: マルチピッチクライミング
登攀レベル: 入門・初級レベル
最高ピッチグレード: Ⅳ
ピッチ数: 4P(公開されたトポ上では5P)
※グレードは公式データがない場合は著者の経験上の体感グレードに準じます。
注意点
登攀終了後の懸垂下降は要注意!!
妙義独特な岩の形状(ポコポコ出っ張った岩がコンクリートで固められたような)のため懸垂下降のロープ回収時にロープが回収できないなどのトラブルの危険性が非常に高いため、初級者は経験者のとの同行が望ましいです。初級者のみのトライは避けたほうがいいと思います。
登攀に適したシーズン
適期:3月中~6月上 / 10月下~12月中
このアリアは標高も低く暑いので夏には向かない。また妙義は全体的にヒルが多いので6月下中旬以降、晩秋の10月下旬頃までは筆者的には行きたくないエリアである。
初冬や初春でも天気のいい日は、日当たりもよくポカポカ陽気が気持ちいいのが嬉しい。
血を吸われるのに抵抗なく、暑いのが気にならなければ夏場の登攀もいいでしょう・・・
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駐車場
駐車場は(旧)国民宿舎 裏妙義の駐車場を利用(無料)
※国民宿舎 裏妙義は2018年3月にて営業終了で現在(2019年2月現在)は営業は行っていません。
駐車台数は40~50台ほどは駐車可能です。この木戸壁を含む裏妙義は表妙義と比べると人は少ない傾向にあるので駐車できないほど埋まることはまずないと思います。
アプローチ
取り付きまでは、籠沢(こもりさわ)コースにて丁須の頭に向かう途中に木戸壁はあります。国民宿舎から30~40分程度。
概要図
国民宿舎の駐車場から、建物に向かって左手に向かって歩いていくと舗装された林道に下りる階段がある。そこには「丁須の頭」の看板があるのでわかりやすい。
しばらくは、舗装された林道を歩いていく。
途中踏み跡のある道があるが、看板の指示通りスルー。
林道からは、一見看板が見えないしっかりとした踏み跡を少し上がると「丁須の頭」の看板があるのでここから登山道に入る。
しばらくは樹林帯(杉林)を登っていくとやがて(涸れた)沢沿いの道となり、巨岩が乱立する登山道となる。少し岩登りチックな感じになってくると取り付きまであと少し。
登山道の真正面に大きな岩壁が現れて画像のような「矢印」があったらここが登山道から離れるポイントです。右に行くと取り付きに出ます。
矢印を岸壁に向かって右方向に入っていくと、洞窟チックな石室がある。ここを左手にもう少し上がれば取り付き。
洞窟から少し急な踏み跡を上がると、少し大きめな木があり、その壁側を見るとペツルのハンバーボルトが光っているのが見える。
取り付き
木のところはビレーするのが精一杯の広さ。登攀の準備は手前の洞窟か、木の先にも少し広くなっている場所がある。
また、取り付きはさほど危険な場所ではありませんが、この木にセルフが取れるので登攀するときはしっかりセルフをとりましょう。
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ルート内容
ピッチ数: 4P(当サイトオススメなピッチの切り方)
最高ピッチグレード:Ⅳ
取り付きから、まずは上部にみえる「松の木」を目指す。一応、ペツルのハンガーボルトが次々に出てくるのでルートはわかりやすい。
1P目 Ⅲ- 15m
取り付きからはペツルのハンガーボルトに導かれながら上がっていく。15mちょっと上がると3~4人ほど溜まれるテラスがあるのでここピッチを切る。(もっと延ばしてもいいが、次のピッチを考えるとここで切るのがベター。
2P目 Ⅳ 50m
最初のピッチを細かく切った分、ここでは一気に50m伸ばします。50mと書きましたが実際には2mくらい余ったので48mくらいでしょうか。50mロープであれば問題ありません。
最初は緩斜面を登っていきますが若干砂っぽいので要注意、最初のランナーはこのルート唯一のリングボルトです。2本目をとったら少し右に出て立った壁を登っていきます。このピッチのハイライトでこの先も傾斜のキツイ箇所が続くので一番楽しいパートです。20mちょっと上がったところに終了点がありますが、比較的直線的なルートなので一気に延ばしていきましょう。後半は少しロープが重たくなります。ランナーの取り方にも少し注意が必要ですね。
そして、松の木を越えるとすぐに終了点。こちらもピカピカのペツルが光っている。
3P目 Ⅳ- 30m
終了点から右のカンテに出る。直登はハングしてるしボロボロ砂砂で登攀意欲は一切湧かない・・・
カンテを少し登るとすぐに終了点がでてくるがそれはスルーしてさらに10mほど登ると終了点が再び出てくるのでそこでピッチを切る。
ガイドさん用?なのかペツルが連打されているので安心、すべてのピンにランナーを取っていくとタマがなくなる可能性あり。ランナーはほどほどに(笑)
4P目 Ⅲ- 20m
ここが最終ピッチ。上部岩壁は登攀対象ではないのでその下のテラスまで。
特に難しくはない。キラキラ光るペツルに導かれて進めば問題ない。感覚的には若干、右側から回り込むような感覚で登っていく。壁状を乗り越すとテラスがあり、そこに終了点が見えるのでここで終了。
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終了点
ご覧の通り、終了点はしっかりしている。ここまでの終了点はすべてペツルのハンガーボルトが打たれているのでとても安心して登ることができる。終了点はソコソコ広いテラスで4人程度なら腰を下ろして寛ぐこともできるがアイザイレンは必要なのでくれぐれもフリーで休むことがないように。
木戸壁終了点からの下降
登攀終了後は懸垂下降で取り付きまで戻ることになるのだが、本ルートの核心はこの下降だと個人的には思う。
ルートはある程度の技術、知識があれば十分に登れるがこの下降はある程度経験を積んだ著者でも少し嫌だと感じた。
その理由としてはポコポコ突起した岩の形状にあり、この岩に連結のコブが引っかかったり、コブに巻きついたりするリスクが非常に高いので、懸垂下降時のトラブルに備えて初級者のみのではなく経験を積んだ者と登高することを強くオススメします。
懸垂下降
最終ピッチの終了点から50mを連結すれば、まっすぐ2P目の終了点の松の木まで降りることが可能。
次に松の木の根っこを使って1P目の終了点までは十分に降りられる。
最後は連結を解き、1P目の終了点から、1本のロープで降りる事が可能なので、合計3Pの懸垂で取り付きまで降りられることになる。
くれぐれもロープのスタックは注意したい。経験が浅い者は時間はかかってしまうが、ロープを連結せずに1本のロープで細かく切って懸垂した方がリスクは少ないと思います。
装備(登攀具)
- ダブルロープ(8.0~8.6mm)× 2
- クイックドロー × 10
- アルパインヌンチャク × 3~4
- カラビナ(環付含) × 8
- スリング(120cm/60cm)× 4 / 2
※その他、確保機、登高機(アッセンダー系)、捨て縄、クライミングシューズ、などの個人装備。
最後に・・・木戸壁登攀のまとめ
アプローチ、登攀レベルは初級編なので難しくはない、プロテクションの中間支点はありすぎというほどあり、終了点もしっかりしているので安心して登れる。
何度も言いますが、懸垂下降だけは要注意。もともとボロボロの岩場だったがたくさんの人が登っているせいか、比較的安定した岩場な印象。ただし、あくまでも本チャンよりな岩場なのでホールドへの力のかけ方、持ち手をしっかり確認するなど細心の注意を払いたい。
ロケーションもルート内容も充実した楽しめるルートなのでステップアップとして一度は登っておきたいルートなので是非、楽しんできてください。