はじめに
登山の講習会やツアーには、多くの場合、何らかの参加条件があります。登山ツアーにも、行程や体力に応じた参加条件が設けられています。
その中で登山道場の特徴は、難しいルートに入る講習会では、実際の歩きと体力を確認してから参加を決めることです。そのために、お申込みはまず「仮受付」とし、確認ができたうえで「正式受付」としています。
この記事では、登山道場が参加基準を設けている理由と受付の流れ、そして申込み前に自分を振り返るための自己診断チェックリストをご紹介します。

登山道場が参加基準を設ける理由
1. 参加する方ご本人の安全のため
実力を超えたルートに入ることは、山で最も危険なことの一つです。歩きや体力が足りないまま難しいルートに入れば、本人が一番危険な目に遭います。
2. 一緒に参加する道場生のため
講習会は、複数の道場生が一緒に歩きます。一人の実力が大きく足りないと、全体の行程が遅れたり、講師がその方にかかりきりになったりして、ほかの道場生の安全と学びにも影響します。
3. ロープに頼らず、歩ける人が難しいルートに入るため
登山道場では、ロープで安全を確保しながら難しいルートに入るのではなく、しっかり歩けるようになってから難しいルートに入ることを基本にしています。だからこそ、事前に歩きと体力を確認することが欠かせません。(この考え方はロードマップの記事で詳しくご紹介しています)

参加基準がある講習会・ない講習会
すべての講習会に参加基準があるわけではありません。
| 講習会の種類 | 参加の目安 |
|---|---|
| 体力をあまり必要としない講習会(歩行講習、雪山の基本講習など) | 基本的にどなたでも参加できます |
| 行程が少し長い講習会 | 技術確認を済ませた方が参加できます |
| 難ルート・バリエーションルートに入る講習会 | 技術確認を済ませた方が参加できます |
難しいルートや山に挑戦する場合は、基本的に、まず参加できる講習会に一度参加していただき、そこで歩きと体力を確認してからの挑戦になります。
2027年からは、アルプスの上級者向けルート、雪山、バリエーションルートなどで、そのルートに必要な技術レベルにしっかり達していることを、より厳格に参加の条件とします。
仮受付から正式受付までの流れ
参加基準のある講習会は、次の流れでお申込みいただきます。
まずは仮受付となります
これまでの講習会への参加状況から、そのルートに必要な技術と体力を確認します
確認ができた方は正式受付となり、参加が確定します。レベルに達していないと判断した方には、お申込みから10日以内を目安にご連絡します
登山道場の講習会にまだ参加したことがない方は、まず参加基準のない講習会にご参加いただき、そこで歩きを見せていただくのが基本です。
ただし、お住まいの地域やスケジュールの都合で、事前の講習会への参加が難しい方もいると思います。その場合は、YAMAPやヤマレコなどの山行記録をご提出いただき、それをもとに参加の可否を判断することもあります。
何を見て判断するのか
登山道場が確認しているのは、そのルートに必要な技術と体力です。見るポイントはルートによって異なりますが、たとえば次のようなものがあります。
- 体力:その行程を、最後まで余裕を持って歩き切れるか
- 岩場歩行・三点支持:岩場で、安定して体を運べているか
- 丁寧な岩稜歩き:落石を起こさない足運びができているか
- バックステップ:岩場を後ろ向きで下る動作がスムーズか
- ロープワーク・懸垂下降:必要なルートでは、スムーズに行えるか
- クライミング力:登攀を含むルートでは、十分な登攀力があるか
- これまでの経験:そのルートの一つ手前の段階を、問題なく経験しているか
歩けることと同じくらい大切なのが体力です。行程が長くなれば疲れが出て、集中力が落ちます。危険な岩稜でそうなってしまうと、とても危険です。
具体的な基準は、行く山やルートによって変わります。そのため、一律の数字で区切るのではなく、歩行と体力を総合的に見て、講師が判断しています。

申込み前の自己診断チェックリスト
参加基準は山やルートによって変わるため、このチェックリストは合否を決めるものではありません。難しいルートの講習会に申し込む前に、自分の今の状態を正直に振り返るためのものです。
歩きについて
- 岩場や木の根、ザレた道でも、手をつかずに安定して歩ける
- 下りでも、スリップしたり、ふらついたりすることが少ない
- 岩場で三点支持を意識して、落ち着いて体を運べる
- 落石を起こさないよう、足の置き場所を丁寧に選べる
- 岩場を後ろ向きで下るとき、迷わずスムーズに動ける
- 疲れてきても、足元が雑にならない
体力について
- 申し込む講習会と同じくらいの行程を、最近歩いたことがある
- 行動の最後まで、余裕を残して歩き切れる
- 休憩のたびに長く休まなくても、ペースを保てる
- 翌日に疲れが大きく残らない
経験と判断について
- 申し込む講習会の一つ手前の段階のルートを、問題なく歩いたことがある
- 自分の実力を、実際より高く見積もっていないと言える
- 不安な点があるときに、それを講師に正直に伝えられる
当てはまらない項目が多い場合は、無理をせず、一つ手前の段階の講習会から始めることをおすすめします。迷ったときは、申込み前にご相談ください。
基準に届かなかった場合は
正式受付に至らなかった場合でも、それで終わりではありません。今の状態から基準に届くために必要な講習会をご案内します。段階を飛ばさずに一つずつ進むことが、結果として目標の山への一番の近道です。
また、「技術を身につけることより、とにかくその山に行きたい」という方には、登山ツアーへの参加をおすすめしています。目的に合った場所を選ぶことが大切だと考えているからです。
参加基準は、誰かをふるい落とすためのものではありません。道場生全員が安全に、そして確実に自分の力で山を歩けるようになるための仕組みです。
参加できるか迷ったときのご相談は、公式LINEでお届けしています。

