はじめに
登山ツアーで山の楽しさを知り、「いつかは自分の力で山に行ってみたい」と思うようになった。そんな方は少なくないと思います。
でも、何から、どんな順番で身につければいいのか分からない。この記事では、登山初心者が自分の力で山に行けるようになるまでの道のりを、ロードマップとしてご紹介します。
登山を始めたばかりの方にも、登山ツアーを卒業して次のステップに進みたい方にも、今の自分がどこにいて、次に何をすればいいのかが分かる内容にしています。

「自分の力で山に行ける」とはどういうことか
自分の力で山に行けるというのは、ただ山道を歩けるということではありません。
- 歩く力:岩場や雪の上でも、転ばず、バテずに歩ける
- 計画する力:コースや時間を自分で計画できる
- 判断する力:天候や体調を見て、進むか引き返すかを決められる
- 備える力:道に迷ったときや、事故が起きたときに対処できる
この4つがそろって初めて、自立した登山者と言えます。登山ツアーでは、計画や判断の多くをガイドが担ってくれます。自分の力で山に行くためには、それを一つずつ自分のものにしていく必要があります。
自分の力で山に行くまでのロードマップ
登山道場では、次の5つの段階で少しずつステップアップしていきます。講習会は、一般道の歩行講習、岩場歩き、雪上歩行、アイゼン歩行、アイゼンでの登攀訓練など、目的に合わせてさまざまな内容を随時企画しています。
ステップ1:低山で歩き方の基礎をつくる
すべての土台は歩き方です。一般道での転ばない歩き方、バテない歩き方、膝を痛めにくい下り方を身につけます。あわせて、装備やウェアの基本、地図読みの基礎もこの段階で学びます。
ステップ2:アルプスの一般ルートを歩き切る
行程が長く、標高も高いアルプスの一般ルートで、最後まで歩き切る体力とペース配分を身につけます。天候の判断や時間の管理など、計画と判断の力もここで養います。
ステップ3:破線ルート・岩稜を歩く
地図上で破線になっている難路や、岩稜帯に挑戦します。岩場での体の使い方、三点支持、浮き石の見極めなど、岩場を安全に通過する技術を、岩場歩きの講習で繰り返し磨きます。
ステップ4:雪山を歩く
雪上歩行やアイゼンを履いた歩行訓練で、雪の上でも転ばずに歩ける技術を身につけます。さらにレベルが上がれば、アイゼンでの登攀訓練にも進みます。
ステップ5:バリエーションルートへ
一般登山道ではないバリエーションルートに挑戦する段階です。ここまで積み上げてきた歩行技術と判断力を土台に、より高度な山へと進みます。
どのステップから始めるかは、今の経験によって変わります。登山ツアーでアルプスを歩いたことがある方でも、歩き方の基礎から見直すことで、その後の上達が大きく変わります。

地図読み・セルフレスキュー・ロープワークはいつ学ぶ?
登山道場では、これらの技術をそれぞれ専門の講習会で学べます。受けるタイミングは次のとおりです。
- 地図読み・セルフレスキュー:できるだけ早い段階で
道に迷ったとき、けが人が出たときに自分たちで対処できることは、自立した登山者に欠かせない基礎知識です。ステップ1・2のうちに受けておくことをおすすめします。 - ロープワーク:必要になってから
バリエーションルートに挑戦したい、人を厳しいルートに連れて行く立場になりたい。そう思ったときに受ければ十分です。
登山道場が、ロープに頼らない理由
ジャンダルム、大キレット、剱岳。日本でも屈指の難ルートとして知られる山です。こうした山に登山ツアーで行く場合、ガイドが参加者とロープを結んで歩くのが一般的です。
では、山岳会ではどうでしょうか。ロープを結んでこうしたルートを歩く山岳会は、ほとんどありません。なぜなら、そこを歩けるようになってからでないと連れて行かないからです。
登山道場の考え方も同じです。ロープで安全を確保しながら難しいルートに入るのではなく、しっかり歩けるようになってから難しいルートに入る。これが基本です。
もちろん、山では何が起こるか分かりません。講師は万が一に備えてロープを持参しており、厳しいと判断すればロープを出します。ですが、それは本来の姿ではありません。
ロープを使わずに歩ける場所は、ロープに頼らずに歩ける技術を磨く。その場が、登山道場です。

次の段階に進めるかは、歩きと体力で判断します
ロープに頼らないということは、それだけ歩き方が大切になるということです。そのため登山道場では、歩き方をとても厳しく見ています。難しいルートへの参加は、実際の歩きを見て判断します。
そして、歩けることと同じくらい大切なのが体力です。行程が長くなれば、誰でも疲れて集中力が落ちます。危険な岩稜でそうなってしまうと、とても危険です。
登山道場では、歩行と体力の両方を見て、総合的に次の段階へ進めるかを判断しています。厳しく感じるかもしれませんが、それは道場生が安全に、自分の力で山を歩けるようになるためです。
※参加基準と、申込み前に使える自己診断チェックリストは、こちらの記事でご紹介しています。
どのくらいの期間がかかる?
上達のスピードは、参加する頻度や経験によって人それぞれです。それでも、段階を踏んで続けて学べば、着実に行ける山は広がっていきます。
実際に、道場生からはこんな声も届いています。
登山を始めたばかりの頃に登山道場に出会い、1〜2年でバリエーションルートやクライミングも始めることができました。
大切なのは、焦らず、一つずつ積み上げることです。
登山ツアーで山を始めた方へ
登山ツアーで歩いてきた経験は、決して無駄ではありません。山の空気や長い行程に慣れていることは、大きな強みです。
ただ、登山ツアーでは計画や判断をガイドに任せてきた分、自分で判断する経験はまだ少ないかもしれません。また、ロープを結んで歩いた難ルートは、自分の力で歩けたこととは別のものです。
登山ツアーを卒業して自分の力で山へ行くための第一歩は、歩き方を基礎から見直すことです。そこから、このロードマップを一つずつ進んでいきましょう。

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