バックカントリーの聖地 “白馬” での人気の山「白馬乗鞍岳」。人気の山ですが少し足を伸ばせば人があまり入らない穴場のポイントがあるんです。
人があまり入らない、さらに北面ということもあってパウダー率が非常に高いのが今回紹介する「乗鞍沢」です。
多少登り返しが増えるので、体力のある人向けのルートになりますが、登り返しをする価値は十分なルートです。
体力レベル/滑走レベル/ルートファインディング
体力レベル : ★★★☆☆
滑走レベル : ★★★☆☆
登山技術 : ★★☆☆☆
ルートファインディング : ★★☆☆☆
BCルートグレード : 2級下
※グレーディングは著者の経験上の体感グレードに準じます。
※「BCルートグレード」は本サイトの独断的判断
総評
行動時間は一般的なコースタイムで歩けるのを基準として8時間前後(休憩時間含めて)の行動時間となるので体力はある程度必要。うち登りは4時間半~5時間前後(登り返し含め)となります。
登山的には危険箇所は特にありませんが、時期やコンディションによっては硬いことがありますので、スキーアイゼン、もしくはアイゼンが必要となることがあるので装備には注意したいところです。
滑りでは、乗鞍沢のドロップポイントが40~45程度あるのである急斜面に慣れた人でないと恐怖に感じるかもしれません。
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滑走に適したシーズン
適期:1月上~4月上
このアリアは標高が高く豪雪地帯、また比較的深い谷なので降り始めの12月頃はまだ厳しいと予想されます。雪がしっかり積もった1月上旬以降から滑走は可能で3月下旬~4月上旬でも標高の高いところで雪が降った際はパウダーが期待でき、暖かくなった春のザラメ雪でも楽しめるルートです。
駐車場
栂池高原スキー場 駐車場
栂池高原スキー場のゴンドラを使ってのアプローチとなるため、ゴンドラ近くの駐車場が好ましいです。栂池はゴンドラ近くの駐車場でも無料で駐車できます。(ゴンドラ駅真下の駐車場はごく稀に時期的に有料になることもあります。)
スキー場の駐車場なので何百台ものキャパはありますが、年末年始や連休などは込み合うことがあるので、早めの行動が重要。極力、早い時間から駐車場に入るのが好ましいと思います。
登山口までのアプローチ
栂池高原スキー場のゴンドラリフト”イヴ”に乗車し、栂の森(ゴンドラ山頂)駅で下車。下車後、出口を出て左の方へ回り「栂の森ゲレンデ」のリフトに乗車して栂の森ゲレンデのトップまで行き。リフトを下りたら、左方向の栂の森ゲレンデ方面へ行きますが。ゲレンデへは行かず、そのままゲレンデ上部をトラヴァースして林道に当たったら、登山準備を整えて登山開始します。
概要図
登山口から白馬乗鞍岳へ
ゲレンデ脇の林道から登山が始まり栂池自然園までは傾斜の緩い林道歩きが45~50分ほど続きます。途中林道のショートカットがあるので先行者についていくのもいいですが、早大小屋周辺から斜面を上がっていくのはヒヨドリ峰に行く人たちなので要注意です。
注意する点
歩き始めて200m前後、進行方向に向かって右手に樹林が少ない沢状の地形がありますがそこ周辺は雪崩が非常に発生し易い場所です。降雪直後は特に注意が必要。ここは立ち止まらず、早足で一気に駆け抜けてしまいましょう。
栂池ロープウェイの自然園駅の方へ行ってしまうと遠回りになってしまいますので、成城大学小屋を目指して登っていくのが最短ルートです。シーズン通して人が多いのエリアでトレースに沿って上がっていくと成城大学小屋に出ると思います。先行する場合は地図上で地形を見ながら目指しましょう。
3月中旬以降はロープウェイが利用可能に
3月中旬以降は栂池ロープウェイの運転が始まります。ロープウェイを使えばここまでの歩きは省略できます。
運行状況については栂池高原スキー場のWebサイトをご確認ください。
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自然園より先は本格的な登りに・・・
自然園(成城大学小屋)を過ぎてからは、小尾根通しに天狗原に向かいます。ちょっとした樹林帯を越えるとそこからは斜度が増してきます。
基本的にはシールで登れる範疇ですが、後半はコンディションによって難儀する可能性があります。またシール登高になれない人も苦戦する可能性は十分にあります。かといって余程カリカリでないかぎりスキーアイゼンは必要ではないと思います。自然園周辺から1時間前後登ると広大な天狗原です。
天狗原から白馬乗鞍岳山頂まではより一層傾斜がきつくなります。初級者はコンディションによりますが、シール登高が厳しければ行き詰まる前にスキーアイゼンを装着するか板を担いでアイゼンで歩行した方が無難です。
白馬乗鞍岳山頂付近も広大な雪原となり、風をさえぎるものがなく強風な場合が多いので山頂の手前で防寒対策を考えた方がいいでしょう。
運がよければ山頂付近では雷鳥に出会うことができるかも・・・この時期の雷鳥は真っ白でとても綺麗ですよ。
山頂から乗鞍沢へ
山頂から北のほうへ10~15分ほど歩くとお目当ての乗鞍沢。山頂から緩やかに下って少し登ったあたり(下の画像の正面の小ピーク)で滑走の準備をするといい。乗鞍沢のドロップポイントはさらにその奥。
更にその奥にはピークがあるのでそのピークの手前を右に行くとドロップポイントになります。出だしは少々急なので慎重に。
なお、正面の小ピーク手前の沢状の先も滑走は可能で、こちらからドロップすると登り返しが1回少なくなる。こちらの方が急斜面なのでパウダー確実のときは問題ないがコンディションが微妙なときは避けたほうがいい。
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乗鞍沢を滑走
さて、ここからが天国の乗鞍沢の滑走です。ドロップから100~150mほどは急斜面が続くので急斜面に慣れていないと難しいかもしれません。雪の状態がよければこの上ない最高の斜度、またここは穴場なのでファーストトラックが十分に期待できます。
滑走終了のポイント
標高差で300mちょっと滑ったあたりに岩壁が見えその先は細くなっているのでここは我慢して岩壁の少し上くらいまでにした方が無難です。このあたりから南側の斜面を登り返します。
登り返し(乗鞍沢~天狗原)
登り返しのラインについては実際に現場を見ながらになると思いますが、上部に添付した概要図のラインを目安に登ってもらうのがベターです。斜度はソコソコあるのでキックターンに自身のない人は、よほど深くない限りつぼ足で登り返すのも検討しよう。
尾根に乗り上げると右手奥に滑走意欲をそそる斜面が出てくるので、体力・時間に余裕があれば尾根沿いを登ってその斜面を滑るのもありかもしれません。ただしその場合、(滑走)なるべく右(南)にラインを向けながら滑るといいでしょう。
その先は天狗原直下の斜面の底を目指して滑ってもいいですし、なるべく標高を落とさないようにトラヴァースすると天狗原までの登りが少し省略できます。ここは雪のコンディション、メンバーの体力、時間を総合的に判断して行動したほうがいいと思います。
天狗原に出ると岩が重なったようになったピークらしき場所には祠があるのでそこまではシールでの歩行となります。
天狗原からの滑走
祠に到着すれば、ここで本ルートでの登り返しはすべて終了です。あとは滑って栂池高原スキー場まで行くだけです。
祠からは少し平らな斜面をゆっくり滑りながら天狗原の南斜面へと入っていきます。ここで注意するのはまっすぐではなくやや左(東)よりに進み南斜面に入った方が素直な下山ルートになります。
南斜面に入るとまもなく栂池自然園やロープウェーの駅舎が視界に入ってきますので、駅付近を目指して滑っていきましょう。
自然園から先はいろんな沢が入り混じってきますが、余程でない限りは大きくルートを外すことはありません。ただし、念のため現在地を確認しながらゴンドラリフトの栂の森駅に向かって滑るのが無難です。
地図読みに自身がなかったり、コンディションが微妙場合は登ってきた林道沿いに下ったほうが楽です。
装備(登攀具)
- 滑走具(スキー、スノーボード)
- シール(スノーシュー)
- アイゼン
- ピッケル
- ストック
- 防寒具
- テルモス
- 行動食
- ヘッドランプ
- サングラス・ゴーグル
- グローブ(替え含む)
など・・・
最後に・・・乗鞍沢に行くのにあたって・・・
今回紹介したルートで登りに難しい箇所は特にありません。ただしコンディションによってはカリカリで難儀することも考えられます。
そして、なにより体力的な部分は必要不可欠なのと急斜面を問題なく滑走できる滑走技術は必須です。初級者向けのルートではないので自己の技術、経験に過信せずに挑んでください。