【服装編】登山をはじめよう!服装は?登山時の服装の基礎知識

山の知識

前回は登山やトレッキングに行くための最低限の装備についてお伝えしました。

初めての登山!最低限、コレだけあれば山に行ける ~服装・装備編~

2019年3月4日

今回は「もう少し本格的に登山をやってみたい!」と思っている方向けの情報をお伝えしていきます。

今回は3シーズン(春~秋)に山に行く前提での装備特集となります。冬山(雪山)登山に関しては全く装備が異なってきますので注意が必要です。

なお、3シーズンにおいても残雪(雪渓)が残っている山域も多くあります。例えば(白馬)大雪渓、針ノ木雪渓、剣沢雪渓などの3大雪渓は真夏でも雪が残ります。また、人気の高い日本の標高第2位の「北岳」でも大樺沢などのルートは夏場でも雪渓が残ります。

服装

登山をはじめるのにあたって、最初に気になるのは「服装」でしょう。登山用のウェアはカラフルでオシャレだし。ただオシャレというだけでは登山はできません。

登山の服装ではレイヤリングという重ね着が基本となってきます。時期、山、気候なども考えながらその時々のウェアも選択することが重要です。

もう一つ、歩き始めは少し寒いくらいが基本です。5~10分も歩けば身体は熱くなり汗をかきはじめます。汗を掻いてインナーが濡れてしまうと汗冷えの原因となり辛い思いや、時には命の危機に及ぶこともあります。

それでは、どんな着こなしをすればいいのか見ていきましょう!

ベースレイヤー(下着)

名前の通りベースとなる服で、いわゆる下着ですね。直接肌に触れる部分でとても重要です。絶対NGは、肌触りは良いですが「綿」の肌着です。乾きにくく汗冷えしやすいので綿の肌着はやめましょう。

ここでのポイントは

  • 汗などの水分を吸わない速乾素材
  • 通気性がいい

これを満たしてくれる登山用のアンダーウェアがあります。通常の下着に比べると少々金額はお高めですが効果は絶大、比較的長持ちするので長いスパンで考えれば決して高い買い物ではありません。筆者はほぼ毎週着ていても5年以上は使っています。

ファイントラック メッシュ

着心地も軽くてストレスフリーなのが嬉しいです。こちらは汗を吸収するのではなく吸い上げてミドルレイヤーに水分(汗)を逃がしてくれる働きをします。むしろ吸うどころか水分をはじき、メッシュの部分から汗を外に放出していきます。

これによって肌と接する生地はサラサラな感じが保たれます。また、水分を含まない特性から汗臭くなりにくい素材です。

ミレー  網網サンダーウェア

こちらも上記商品と働きはほとんど同じです。編み網みの形状でより一層水分を放出する働きを強めてくれるので効果はこちらのほうが高いでしょう。

デメリットとすればタイトなので若干締め付けられた感じがあるのと生地?繊維?が太く厚いので若干ごわつく感じがあります。

ファイントラック ブラジャー

女性はこんなブラジャーも出ています。スポーツ用としてはいろいろ出ていますが速乾性や汗冷えを考えると登山ではこれがベターな選択だと思います。

また、これらのベースレイヤーは3シーズンに限らずオールシーズンで使えるので買って損はありません。言うまでもなく筆者にはなくてはならない存在です。

ミッドレイヤー(中間着)

ミッドレイヤーもベースレイヤー同様、綿の素材はNG。基本的に山に着ていくものでは「綿」の素材というのは適しません。ポリエステルなどの化学繊維で速乾性のものを選ぶようにしましょう。ベースレイヤーから出た水分を吸収はするけどすぐに乾いてくれる素材が好ましいです。

最近、登山用のミッドレイヤーは化学繊維のものが主流になっているので困ることはありませんが、Tシャツやネルシャツなど一部綿のものも存在しますので、購入の際は素材のタグのチェックは忘れずに。

ちなみに、ミッドレイヤーは素材だけ気をつければ基本的には問題ありません。その上で行く山や季節などを考えて生地の厚さや保温性などを考えてもらえばいいと思います。時期や山域などの例を記載しますので是非参考にしてください。

登山における季節感について・・・
平地の季節感とは少々異なり、一般的に登山シーズンは5月下旬~11月上旬(標高3,000m近いアルプス<北・南・中央>では6月上旬~10月上旬)となります。
<注意事項>
特に北アルプス周辺ではGW過ぎまでは、荒れれば一度冬山の世界となります。初心者は6月中旬頃まで近づかない方が無難です。
また、北アルプスは10月上旬でも天候次第では降雪があるので9月末以降、稜線に上がる際は注意が必要です。

初夏~真夏(5月下旬~8月中旬)

この時期は山域やルートによって7月下旬頃まで雪が残ります。ただし気温は暖かく行動するにはとても快適です。雪渓歩きでは冷たい風が吹き降ろしてくるので風をかわすアウターがあると便利です。

シャツはTシャツや、ハーフジップタイプが使いやすい。

『半袖』

『長袖』

初秋~晩秋(8月中旬~11月初旬)

平地では残暑が厳しくても、お盆を過ぎると山では秋めいた雰囲気にガラッと変わってきます。日中は暑くても朝晩は冷え込むことが多いので保温性のあるミッドレイヤーやダウンなどで防寒対策が必要です。

保温性の高いインナーにフリースを着れば暖かさは倍増です。ミッドレイヤーは2層から3層になってもOKです。

アウター

3シーズンにおいてのアウターは大抵の場合レインウェアで代用で着てしまうことが多いのですが、どうしてもガサガサ感は否めません。

また、秋以降の寒くなる時期ではレイヤリングをもう一層増やした方が好ましいです。寒ければダウンという選択もありますがそこまででもない・・・そんなときに役立つのがソフトシェルです。最近のソフトシェルはウィンドストッパー効果もありますし、伸縮性に優れているのでなんと言っても着心地が抜群です。

防寒具(ダウン)

泊まりで山に行くような登山では、朝晩は真夏でも冷え込むことがあるので防寒具は必要です。行く場所によって程度は異なりますが筆者は必ず持って行きます。(お盆前後でも気圧配置によって北アルプスの稜線では0度近くになることもあるんです。)

晩秋などは終日寒くなってくるのでフリースなどが役に立ちます。ただしフリース系は嵩張ることが多いので真夏では荷物の邪魔になります。

そこで活躍するのがライトダウンです。雨が心配な時はアウターの下に着ることもできますし、ダウンはとてもコンパクトに収納でき軽いのがいいですね。

ちなみに・・・筆者は3シーズンであれば大抵ユニクロの「ウルトラライトダウン」を持っていくことが多いですね。軽いし、コンパクトに収まるし、安いし、かなり使えます。

パンツ

パンツは疲労度を大きく左右するとても重要なアイテムです。これがなかなかいいのが見つからない。筆者は個人的に永遠のテーマだと思っています。過去に何十本というパンツを買って着ましたが「当たり」の割合は1割程度。同じものを買おうと思ってもその頃にはもう売っていなかったりと・・・何本もまとめて買うとお金も掛かるし・・・

選ぶポイントとしては・・・
  • ストレッチ性
  • デザイン(シルエット)
  • ポケットの数、形状、位置
  • ベルトの有無
  • 股間のファスナー

こんなところでしょうか。それでは1つづつ見ていきましょう!

ストレッチ性

これは絶対条件です。ストレッチ性能によって疲労度は大きく変わってきます。登山では段差の高いところに大きく足を上げたりすることが多いので影響します。手にとってみて伸びなければ問題外、多少伸びたとしてもその伸び具合も要チェックです。あと混紡の割合で「ポリウレタン」が含まれていることが大半だと思いますがその割合が「どの程度か」が問題です。ポリウレタンが2%が基準となり、2%なら可もなく不可もなく「1%なら購入しない」、「3%以上は買い」です。最近の傾向を見ると大抵は2%です。なのでとても微妙なのですがこれに加えてあとは記事の織り方や素材によってポリウレタンの混紡率の性能以上にもなるしそれ以下にもなります。なので実際手にとっていろいろなものを試着してストレッチ性能の高いパンツの感覚を身に着けてください。

デザイン(シルエット)

ストレッチ性能がクリアしたら次はデザインです。これは好みの問題になりますけど、個人的にはすらっとした細身のシルエットの方が好きです。だからこそストレッチ性能にこだわる訳なんですけど。

ダボッとしてたら足短く見えるし、なんかかっこ悪い気がしてしまって…太めのパンツのほうが穿いてて楽なんですけどね。

ちなみに「モン○ル」さんは中高年をターゲットにしているの太いデザインが多いイメージです。それでも最近はタイトなデザインも出てきたり、以前は色使いが地味だったのに発色のいいものが出てきたり・・・最近の中高年の志向が変わってきたのか方針としてターゲットの年代を下げたのか・・・これは分かりません。

これは超個人的な考えで批判があるかもしれませんが、登山をしている人間の中では「モン○ル」はとてもオシャレな部類とはいえません。

「モン○ル」のイメージ・・・
  • 機能性○
  • コストパフォーマンス○
  • 色使い△
  • デザイン▼

まぁ、簡単に言うと「アンチ」なんです。(笑)登山を長年やっている人にはそういう人が多いかな・・・これ以上言うと炎上しそうなのでこれくらいにしておきます。

ポケットの数、形状、位置

この項目は優先順位は下がりますが結構重要です。ポケットがどこに何個着いているか・・・腰のすぐ下(前面)の一般的なポケット、これは余程の特殊な仕様でない限りついています。あとはお尻のポケットが左右、膝上あたりの側面のポケットが左右あるか否か・・・。

この6箇所がおそらくマックスです。ここは個人的な好みの問題でもありますが、それすべて必要か・・・ここにはあってほしい・・・などといろいろあると思います。個人的には結構ポケットにしまうことがあるので気にします。

これに加えてファスナーの有無です。行動中にポケットに入れた携帯を落とした経験もあり基本的にはあってほしいです。しかし、これも好みですね。最近はスマホのカメラ性能が向上したことによって写真を携帯で撮る方が増えています。そうなるとポケットにスマホを入れることもあり、重要度が増しています。

ベルトの有無

登山用のパンツには大きく分けて2つ

  • 別売りのベルトを必要とするタイプ
  • ベルト形状のパーツが付いているタイプ

この2タイプです。これも好みによりますが、例えばロープを結んだりするハーネスなどをする場合はベルトがとても邪魔になります。

ベルトは別売りなので別に買わなきゃならないですしね。登山用のベルトはそれほど高いものではないのですが・・・

股間のファスナー

一般的な「ズボン」感覚では股間のファスナーは付いていると思っている方がほとんどですが登山用のパンツはときどき付いていないモデルがあります。

よく言えばチャックの閉め忘れがなくなる(笑)、動きにはあまり影響がない気がしますが、小便や脱ぎ着はとてもしにくいのです。

以上、パンツでもいろいろな項目があるのでこれがすべて好みの条件に合うとなるとなかなか出会わないんですよね・・・いろんなお店を回ってあなた好みのパンツを是非探し出してください。

個人的にですが、「Marmot(マーモット)」のパンツは日本人体系の私には結構ピッタリ合うものが多いです。あと 「Marmot(マーモット)」は比較的金額も安くてこれからはじめる方にはオススメです。

サポートタイツ

サポートタイツは最近穿いている人はとても多いですね。詳しい事はサポートタイツの記事を探してもらえればいいですが、簡単に言うと、

  • 着圧効果による疲労軽減
  • テーピング効果により関節の保護

これらの効果によって本来のパフォーマンスが発揮されるということで穿く人がとても増えています。代表とされるのが「CW-X」でこれらにもいろいろな種類があります。金額もピンキリですのでご自身の状況とお財布と相談して購入されるといいでしょう。

ちなみにCW-Xの中でも4つのモデルがあります。以下引用です。詳しいことをお知りになりたい方はこちらをお読みください。この記事では割愛させていただきます。


CW-Xのスポーツタイツには大きく分けて4つのモデルが存在します。
・GENERATOR ジェネレーター 
・STABILYX スタビライクス
・EXPERT エキスパート
・STYLE FREE スタイルフリー

https://monotabi.net/?p=3292

登山向けのモデルは最上位の「ジェネレーターモデル」です。パフォーマンスや効果を期待するのであればこの1択です。(※これでも最近はたいぶ価格が下がってきて買いやすくなりました。)

レインウェア

レインウェアは出番は少ないかもしれませんがとても重要なアイテムで、もちろん必携です。これこそ物も金額もピンキリです。

基本的には登山用のレインウェアはとても高価なものです。

前回の記事、

初めての登山!最低限、コレだけあれば山に行ける ~服装・装備編~

2019年3月4日

でお伝えしたワークマンの安価なものでもとりあえずとしては問題ありませんが、「ちゃんとしたものを揃えたい」ということであればしっかりした素材のものをオススメします。性能は月とすっぽんです!

ちなみに、雨の小降りのときは「まぁよし・・・」としますが本降りになってるのにレインウェアのジャケットしか着ていない人を登山中によく見かけますが、雨が降ったときは面倒でも上下ちゃんと着用しましょう。下半身が濡れる事で真夏だとしても低体温症になる可能性があります。

レインウェアのパンツは基本的にはスリット?ファスナーが高い位置まであるので登山靴を履いたままでも着れますしね。

モデルによっては側面全体がファスナーになっていいるものもあり着脱が楽です。特に雪渓のあるルートなどでは通常のモデルだとアイゼンを外さない着れませんがこのタイプだとそんなこと気にしなくて脱ぎ着が可能です。

素材について

現在、レインウェアで一般的な素材といえば「Gore-Tex」です。


ゴアテックスは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン)を延伸加工したePTFEフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作る。1969年にボブ・ゴアが、PTFEを用いた低コストなシールテープを作るための実験の中で、押し出しPTFEを急速に大きく延伸させることに成功した。 1平方センチメートルに14億個の微細な孔を含む。その最大の特徴は、防水性と透湿性を両立させていることにある。つまり、水蒸気は通すが雨は通さない。通常、ナイロンなどの生地でゴアテックスを挟んで使用するが、表面生地の撥水性が落ちたり完全に水没している場合は、表面に水の膜ができるため、水蒸気を通さなくなり蒸れてしまうので注意が必要である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

「Gore-Tex」以外にも各メーカーから防水素材が出されていますが、耐久性や防水性、通気性トータル面からすると「Gore-Tex」がベターな選択だと思います。

「Gore-Tex」は伸縮性がなく動きに制限が出る為、多少大きめのサイズの方が動きやすい

伸縮性のあるレインウェア素材で言えばPatagoniaの「H2No」はオススメ。筆者もこの素材を愛用していますが動きやすいです。それも耐久性でみると「Gore-Tex」には劣りますので購入の際はご注意ください。

アクセサリー

アクセサリと聞くと「おまけ」的な雰囲気がしますが重要なアイテムもありますのでチェックはお忘れなく。

帽子

山の日差しは平地以上です。紫外線も強いので日射病や日焼け対策としてもとても重要です。「キャップ」より「ハット」のほうが登山らしい感じがしますね。

形はお好みで選んでもらえばいいと思いますがとても重要なので当然「必携」のアイテムです。

サングラス

サングラスは「ファッション」と思われがちですがこれもとても重要です。雪の上に行かない限り「必携」とは言いませんが、雪の上を歩くような場所では「必携」です。なぜなら雪に反射される紫外線が目を焼く「雪目」になってしまうからです。雪目になると涙がボロボロ2~3日止まりません。痛くて目を開けることすら、閉じることすらままならなくなります。

誰もが一度は経験しますが、筆者も一度重度な「雪目」をやっています。それ以降はサングラスは忘れないようにしてます。万が一忘れたら途中でコンビニでもどこでもどんな安いサングラスでもいいので迷わず買いましょう。

登山では樹林帯だったり、森林限界に出たりと、明るいところと薄暗いところを行き来することもあります。その度に着け外しをすればいいのですが、面倒なので個人的には「調光レンズ」がオススメです。「偏光」ではなく「調光」です。


調光レンズは、紫外線量によってレンズ濃度が変わるレンズです。日差しの強い屋外ではサングラスのように濃い色のレンズとなり、眩しさを低減してくれます。一方で、室内など紫外線の届かない空間においては、通常のメガネ同様のクリアなレンズとなり、明るい視界を確保してくれます。
また、レンズの色の変化の度合いは、温度によっても変化し、夏場の気温の高い時期は薄く発色され、冬場の気温が低い時期は濃く発色されます。

https://www.meganeichiba.jp/lens/highspec/choko/

筆者は『【OAKLEY】 オークリー サングラス 調光 03-897 フラックジャケット XLJ FLAK JACKET 』 を愛用していますが、夜明け前のヘッドライトを使っての行動から日中までサングラスを着けたままです。それほどレンズの色の差がかわるので視界に影響なく一日中着けていられるので置き忘れがなくなりました。

しかし・・・人気ブランドの「Oakley(オークリー)」の調光レンズは高いですよね。はじめからこんなお金は出せないという方、ご安心ください。比較的安い調光レンズのサングラスもありますよ。

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感想(19件)

手袋

手袋は季節によっては凍傷などのリスク直結する重要なアイテムですが今回は3シーズンにおいての装備なのであまり重要視しません。その時々の寒さに耐えれれば問題ないでしょう。

アウトドアブランドの手袋は価格もそれなり、3シーズンであればホームセンターの手袋でも十分でしょう。

登山時の服装のまとめ

今回は初心者にも分かりやすい「登山時の服装の基礎知識」をお伝えしてきました。とりあえず低予算で登山をはじめてみたい方は下記の記事の内容で問題ありませんが

初めての登山!最低限、コレだけあれば山に行ける ~服装・装備編~

2019年3月4日

奥深い山や、行程の長い3000m級のアルプス、1泊以上で山に入る場合は服装、装備はとても重要な要素となります。

今回は服装のみでしたが、登山時の装備については「装備編」の記事も書いています。併せて確認して山に行く準備を進めてみてはいかがでしょうか。

【装備編】登山をはじめよう!装備は?登山装備の基礎知識

2019年3月21日